NJKF×CHALLENGER 10 見どころ

◼︎第10試合
匡志YAMATO(大和ジム)vs 津崎善郎(LAILAPS東京北星ジム)

有終の美かリベンジか
匡志YAMATOラストマッチは津崎善郎念願のリベンジ戦

 両者の因縁は2021年7月、名古屋で行われた「大和ジム50周年記念大会」に遡る。ジムの代表を引き継ぎプレーイングマネージャーとなった匡志は、津崎善郎を左フックで2R KO。記念興行に最高の形で華を添えた。
 完全に引き立て役となってしまった津崎だが、「名古屋でぶっ飛ばされて以来、もう一度彼との再戦を目標に4年間やってきました」と言う通り、屈辱を力に変えKNOCK OUTで勝ち星を重ねた。そして今年5月、過去2度敗れたクンタップ・チャロンチャイを降してKNOCK OUT-REDのベルトを奪取。リベンジの鬼が今度は標的を匡志に変え乗り込んでくる。
 一方、匡志はこの試合をキック人生のラストマッチとすることを決意。キャリアの集大成とする構えだが、津崎にすればまさに滑り込みで念願の機会がやってきた形となる。
 匡志が返り討ちにして有終の美を飾るのか、あるいは津崎が雪辱しキャリアをさらに進めるのか。最高の舞台、そして役者が揃った。

◼︎第9試合
大田拓真(新興ムエタイジム)vs ルーク・ニ・ミット・シンクロンシー(シンクロンシーボクシングジム)

世界王者・大田拓真戴冠第一戦
エースに相応しい試合で勝利はなるか

 今年6月、大田はスペインのアントニオ・オルデンが持つWBCムエタイ世界フェザー級王座に挑んだ。かつては技巧派の印象が強かった大田だが、オープンフィンガーグローブを着用して戦うONE Friday Fightsへの参戦で変貌。激しく打ち合う激闘派の一面を身につけ、オルデン戦でも終始落ち着いた試合運びで攻撃を散らし、最後はボディへの三日月蹴りで3R KOに沈めベルトを手にした。
 今回は世界王者第一戦として臨む凱旋試合。だが王者を甘やかすことなく強者を用意するのがNJKF古くからの流儀であり、今回も多くの強豪を輩出してきたシンクロンシージムからルークミニッツが用意された。過去にWMCとS-1を制したルークミニッツは百戦錬磨のムエタイ戦士らしくあらゆる技をこなすオールラウンダーだが、前に出てヒジ・ヒザを振るう戦いに強みを持つ。流血や打ち合いを厭わぬ激しさがあり、大田が激闘モードで来るなら、試合は激しいものとなるだろう。
 NJKFのエースとして、期待に応え世界王者となった大田。向けられる視線はさらに厳しくなるが、説得力ある内容で勝利を上げたい。

■第8試合
HIRO YAMATO(大和ジム)vs 勝次(TEAM TEPPEN)

充実期のHIROvs円熟期の勝次
新旧王者対決は激闘となるか

 小学6年で名門・大和ジムに入門して以来、25歳となったHIRO YAMATOは人生の半分以上をキックボクシングと歩んできた。時に苦い敗戦を喫することもあったが、そこで腐らず成長を続け、これまで実に7本のベルトを獲得してきた。闘志と技巧を高いレベルで併せ持つそのスタイルは、まさにNJKFを代表する完成された王者と言える。

 対するは2003年のデビューからキャリア22年、80戦の戦績を誇る激闘ファイターにして大ベテランの勝次。激しい戦いを信条としながら長く戦いに身を置き、2019年にはWKBA世界王座を獲得、近年もTEAM TEPPENに所属を変え戦い続けている。しかし、現在は4連敗と苦しい状況にあり、今回が約1年ぶりの復帰戦となる。

 充実期にある若き王者と円熟味を増す激闘王。HIROが自身のベルトを守り、ジムの代表・匡志のラストマッチに花を添えるのか。あるいは勝次が激闘で飲み込み復活を果たすのか。

■第7試合
吉田凜汰朗(VERTEX)vs 剣夜(SHINE沖縄)

吉田凜汰朗、エースの証明へ
元ホストの異色ファイター剣夜を迎え撃つ

 6月大会、吉田はNJKF史上初のオープンフィンガーグローブマッチで健太と激突。吉田が判定勝ちも物議を醸した2月の試合のリマッチで、判定を排除、KOでしか勝敗のつかない完全決着ルールで臨んだ。両者血染めの血戦で健太の両目を大きく腫らした吉田だが、倒すには至らずドロー。試合後「すいませんでした。また出直します」と言葉少なにリングを降りたが、その姿にはエースを目指しながら直面する壁が見て取れた。
 23年・24年とNJKFの年間最高試合を2年連続で受賞と試合内容には定評のある吉田だが、王者となった23年9月以降、KO勝利を得られていない。吉田が目指し、ならんとするファイター像を体現するためには、やはり倒して圧倒的強さと説得力が求められる。
 そんな吉田が迎えるは沖縄の格闘技イベント「TENKAICHI」の王者で那覇の繁華街・松山でホストをしていたという異色の戦士・剣夜。RISEに参戦する四冠王・實方拓海(TSK japan)、沖縄最強を懸け戦ったKJヒロシ(Y’ZD 豊見城)と昨年は星を落としたが、ここをアピールの場としたい。KOを狙う吉田とハングリーな魂がぶつかり合う。

■第6試合
切詰大貴(武勇会)vs 基山幹太(BELLWOOD FIGHT TEAM)

“闘う医学生”切詰とSBの“激闘男”基山
クレバーファイトと乱戦が交錯

 切詰は幼少から始めた空手で全国優勝、キックボクシングに転じると大学では「K-1カレッジ」を制覇。現在は医学部に通いながらリングに上がる“闘う医学生”にしてイノベーションのスーパーライト級王者である。180cmの長身から繰り出すシャープな右ストレートと突き刺すヒザを武器とする。
 対する基山はシュートボクシングからこれが3度目となるNJKF参戦。まず24年6月に吉田凜汰朗(VERTEX)と対戦するも判定負け、続く9月は健太(E.S.G)とドローと、過去2戦ではいずれもNJKFのトップ選手と実力伯仲の勝負を繰り広げた。特に吉田戦はNJKFの2024年度年間最高試合に選出され、その“激闘男”ぶりはNJKFファンもよく知るところだ。
 リーチを活かしたクレバーな戦いを展開したい切詰と、混戦・乱戦の中でその強みを発揮する基山。切詰がその存在をNJKFファンに刻むのか、あるいは基山が三度目の正直でNJKF初勝利を上げるのか。

■第5試合
亜維二(新興ムエタイジム)vs 宗方888(KING gym)

スケールを増す王者・亜維二に
宗方888(ハチミツ)が屈強な肉体で挑む

 昨年6月、当時の王者の欠場により亜維二は戦うことなくNJKFウェルター級王者の認定を受けた。その経緯から実力を疑問視する声もあったが、“立場が人を作る”のか、亜維二は才能を大きく開花させていく。同年9月、シュートボクシング王者・奥山貴大(NEX SPORTS/GSB名古屋)との対決ではダウンを奪われながらも逆転勝利で勝負強さを見せ、今年4月には元新日本キック・ミドル級王者の喜多村誠(リアクトジム湘南/ステラ恵比寿)を初回できっちりTKOした。試合を重ねるごとにスケールを増すファイトで、今後の期待を高めている。
 そんな亜維二のベルトに挑む宗方888(ハチミツ)は、ユニークなリングネームとは裏腹に屈強な肉体を誇る名門KING gym所属のファイター。前に出て圧力をかけ、パワフルな打撃を浴びせるスタイルを持つ。
 キッズ出身で過去にはアマムエタイの世界大会を制している亜維二は、デビュー当初こそプロの壁に阻まれたが、現在はテクニックとパワーの融合が進み噛み合いを見せている。最近は“これぞプロ”という迫力の試合を見せているが、今回も盤石の防衛劇か、あるいは888が強靭なフィジカルで食らいつくのか。

■第4試合
西田光汰(西田キックボクシングジム)vs 明夢(新興ムエタイ)

王者・西田、タイトルマッチにしてリベンジマッチ
明夢はここでブレイクスルーなるか

 両者のタイトルマッチは数奇な巡り合わせの上で実現する。6月大会、西田はランキング1位の永井雷智(VALLELY)を挑戦者に防衛戦を予定したが、永井が負傷欠場。急遽、明夢とのワンマッチに変更となった。
 今年2月にS-1世界フライ級王者・優心(京都野口)を退け、NJKFフライ級最強の座にある西田は問題なく退けると思われたが、明夢は西田をリズムに乗せない試合運びを見せ判定勝利。王者が敗れるまさかの事態となった。
 明夢と永井は過去に引き分けており、明夢勝利後のリングに上がった永井は再戦を約束。しかしタイトルホルダーは西田であり、まずは6月に幻となった永井との王座戦が組まれたが、再び永井が欠場。前回西田を破っていることから資格は十分、明夢にチャンスが回ってきた。
 どちらが勝っても次回防衛戦で永井を迎える流れは不可避。西田が前回の過ちを正して威信を取り戻すか、明夢が西田に2連勝で永井とのリマッチに進むのか。

大会名:アイピック株式会社PRESENTS NJKF×CHALLENGER 8
日時:2025年4月27日(日)
会場:東京・後楽園ホール
時間:開場17:00 / 開始17:15
チケット:チケットぴあ
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