■第9試合
嵐(KING gym) VS 山脇 飛翼(K-1ジム心斎橋チームレパード)

2024年、嵐は甲斐元太郎とのNJKFバンタム級王座決定戦で戦いをスタート(2月)。対戦決定時から挑発を見せると試合でも闘志を前面に押し出し、ボディストレート、テンカオと削り、最後は右ミドルを突き刺し2R KOでベルトを奪取。大会MVPにも選ばれ「俺が53kg最強を証明します」と語った通り、24年の以後の試合はその言葉通り展開していくものと思われた。
しかし王者第1戦で迎えたスックワンキントーン王者・桂英慈戦では涙にくれるドロー(4月)、初参戦のONEではKO負け(8月)、ヒジあり55kg最強決定トーナメントで壱・センチャイジムに噛みついたものの判定負け(11月)と勝ち星に見放され、苦しい立ち位置に追い込まれている。
対照的に24年を4戦全勝と好調で終えたのが対戦相手の山脇。K-1甲子園王者を経てプロ入りした山脇はヒジ・ヒザを制限されたK-1グループで戦績を重ねてきたが、24年からはムエタイルールにも進出。昨年の4勝はいずれもムエタイルールによるものであるだけでなく、前戦となる試合では元NJKFバンタム級王者・志賀将大にヒジでのカットを与えTKO勝利を収めた。
今年2月のトーナメント発表時、リングで「僕が勝ちます」「K-1最高」と話した山脇に、嵐は「K-1最高じゃないんだよ、NJKF最高だよ。4月、こいつぶっ飛ばします」とやはり噛みつき試合を決めた。この1年、自身の言動で注目を集め、メインを務めてきた嵐だが、結果を残すには至っていない。しかし「ピンチはチャンス」の言葉もある。春の嵐はどちらに吹くか。
■第8試合
JIN(楠誠会館) VS 星 拓海(IDEALGYM)

ムエタイルールでの日本統一バンタム級王座を決する本トーナメント。今大会から開幕となるが、それにふさわしい4団体の4王者が選出された。
JINは3月に19歳となった、MA日本バンタム級とJAPAN CUP KICKバンタム級の2冠王。「なにわの死神三兄弟・長男」のキャッチコピーもあり、次男・三男とともにキックに取り組み、「めちゃめちゃ打ち合います」「ボッコボコです」と、コピーに恥じない勝ち気な試合を見せる。
対する星は7月に20歳を迎えるスックワンキントーンのバンタム級王者で、両者は同級生対決となる。NJKFには今回が初参戦だが、保持するベルトは昨年4月に嵐とドローを演じた桂英慈を11月に破って手にしたもので、この事実だけでもその実力がうかがい知れよう。
ともにRISEで試合をこなす両者、JINはK-1甲子園王者・野田蒼との荒れた試合を制しており(24年6月)、星は今年2月の上村雄音戦でそのセンスと距離感を絶賛された。
王者vs王者、されど生き残るのは1人となる。
■第7試合
立嶋篤史(ASSHI-PROJECT) VS 前田浩喜(CORE)

“キックのカリスマ”立嶋篤史が22年の時を経てNJKFにやってくる。
立嶋は1971年12月生まれの53歳で1987年8月にデビュー。今回が101戦目で国内第100戦、立嶋がだわりを持つフェザー級での100戦目ともなる。
立嶋は90年代に3度フェザー級王者に就くなど活躍。昭和・平成・令和と3つの年号に渡り戦ってきたキック界のレジェンドで、NJKFでも2002年から2003年に掛け5試合を行っている。戦績は100戦42勝(27KO)50敗8分。
そんな立嶋に対するはバンタム級とスーパーバンタム級、フェザー級と3階級を制してきた、こちらもNJKFのレジェンドというべき前田浩喜。前田は1981年3月生まれの44歳で、2004年8月のデビューからキャリア20年を超すベテラン選手。
前戦となる昨年9月、石川直樹に判定で敗れ「これからどこを目指せば良いのか… 今後どうするか考えます」と綴った前田だが、自身がキックを始めるきっかけにもなった立嶋とのマッチアップを得て、高いモチベーションでこの一戦に臨む。前田も52戦30勝(18KO)19敗3分と豊富な戦績を有している。
「挑戦」を座右の銘とし、常に自身を「チャレンジャー」と位置づける立嶋が「CHALLENGER」の舞台に立つ。何を見せるか、あるいは前田が“立嶋劇場”を阻むのか。
■第6試合
繁那(R.S-GYM) VS 祖根亮麻(大和ジム)

24年の繁那は国内外の対戦相手と精力的に激闘した。
2月は地元の関西大会でナウインターSUNムエタイ(タイ)と国際戦を行い、ヒジでカットされながらも2度倒して逆転勝ち。4月はKNOCK OUTとの対抗戦で鈴木貫太とドローとなるも、6月の関西大会(NJKF WEST)では再び国際戦に臨み、韓国のキム・チョンヨンに2R TKO勝利した。
特筆すべきは初参戦となった8月のONE Friday Fights。ここで18歳と当時20歳であった繁那よりさらに若いセンチャイ・ナーヨックウィットトゥンソンと対戦し、右ストレートで印象的な初回KOを決めた。
しかし11月のNJKFで新鋭・藤井昴とダウンを奪い合うドローに終わり、今回のトーナメントを迎える。
当初リスペクトを示す大田一航との対戦が予定された繁那だが、一航が3月のONE Friday Fightsで左母指中手骨骨折となり欠場。代わりに祖根亮麻が出場し相対する。
祖根は昨年2月、藤井昴のデビュー戦で対戦。新人離れした技術を見せる藤井に、しかし祖根はタフネスを見せ巻き返してドロー。藤井にプロの洗礼を浴びせた。祖根はその後10月に中島凛太郎と対戦して敗れており、1回戦を突破すれば中島とのリベンジマッチ、あるいは藤井との決着戦に駒を進める。
一航欠場で本命に躍り出た繁那か、緊急出場の祖根が波乱を起こすか。
■第5試合
中島凛太郎(京都野口ジム) VS 藤井昴(KING gym)

中島はアマチュア時代からNEXT LEVEL渋谷で練習を積みプロでも戦ってきたが、京都へ居を移したのを機に京都野口ジム所属となり再スタート。
大田一航の欠場によりトーナメントに名を連ねた祖根亮麻とは昨年10月に対戦し、接近戦が中心となるが、組み際にパンチを当て、組んでもヒジ・ヒザの攻防で上回って判定勝ち。続く12月は判定で敗れるも、4本のベルトを持つ石川直樹にヒジを振り迫った。
対して藤井は昨年2月にアマチュア13冠を引っ下げデビュー。初戦こそ祖根亮麻に阻まれドローに終わったが、第2戦は初回TKO、第3戦は判定勝ちと順調にクリア。4戦目でNJKFスーパーバンタム級のトップファイター繁那との対戦となり、最終3Rにダウンを先取されるも跳びヒザでダウンを奪い返してドロー。実力だけでなく土壇場で追いつく勝負強さも証明した。
当初今年2月の対戦が予定された両者だが、藤井の怪我により試合が中止。今回仕切り直しての一戦は、王座決定トーナメントに格上げされての実施となる。
組み、そしてヒジ・ヒザで中島が藤井にレッスンを与えるか、あるいは藤井がこの試合をチャンピオンイヤーの幕開けとするのか。
■第4試合
亜維二(新興ムエタイ) VS 喜多村誠(リアクトジム湘南/ステラ恵比寿)

24年6月、当時の王者・青木洋輔が欠場したことで新王者の認定を受けた亜維二。労少なくしてベルトを手にした形ではあったが、王者を甘やかさないのがNJKF流。9月にはシュートボクシングのウェルター級王者・奥山貴大との一戦が組まれた。
ここでダウンを先取されるも(2R)、亜維二はヒジを当て最終ラウンドにダウンを奪い返す。その後も終了まで攻めると判定勝ち。逆転でチャンピオン対決を制した。
ここを乗り切った亜維二はBigbangで24年最終戦に臨み(12月)、松山翔を打ち合いからの右フックで初回KOに沈めた。
2006年2月生まれで今年19歳となった亜維二に対し、喜多村は1980年7月生まれの44歳。新日本キックミドル級王者、BOMミドル級王者を経て42歳で引退するも昨年復帰。現在は息子に勝ち姿を見せるのはもちろん、リング上で記念写真に納まることを目指し戦いを続けている。
実に68戦もこなしてきたキャリアからか、「親父狩りされないように気合い入れて頑張ります」とユーモアを交えSNSに綴った喜多村に対し、亜維二は「またチャンピオン狩りの機会をもらえて楽しみな気持ちでいっぱいです!しっかりKO勝利で会場湧かせたいと思います」と意気込みを示す。
25歳の歳の差対決は亜維二がKOショーを見せるか、喜多村が親子の思いを果たすのか。
■第3試合
永井雷智(VALLELY) VS 高木雅己(誠至会)

両者は今年2月大会で対戦。フライ級2位の髙木と3位の永井、当時ランキング1位は空位であることから、実質的な次期挑戦者決定戦と見られていた。
23歳の髙木に17歳の永井、若きタレント2人による試合はNJKFの未来を照らす一戦と期待されたが、髙木のローブローにより永井が2Rで試合続行不可能となり、その時点までの採点を取り永井の判定勝利に(3-0)。
試合は線の細さを感じさせる永井に髙木がパワー差を見せるかと思われたが、永井は当て勘よく右を当て、組んでも髙木をコカすなどフィジカル面でも成長を発揮した。
試合後、永井は「最後まで試合できなくて悔しいです」と涙。負傷判定の形ではあったが勝利であり、無敗も崩れていなかったが「もう1回リベンジさせてもらって、しっかり勝ってからタイトル目指して頑張ります」と、髙木との再戦および完全決着を希望した。
「人生を賭けて」この一戦に臨んでいた髙木もすぐの再戦に異論はなく、今回は正式に「次期挑戦者決定戦」となってのリマッチが決定。
前回の勝敗を受け両者のランキングは入れ替わり、永井が2位、髙木が3位に。2人が不完全決着となった2月大会ではNJKFフライ級王者の西田光汰がS-1同級世界王者の優心からダウンを奪って判定勝利。充実を見せる王者への挑戦権を2人が争う。
■第2試合
新人(E.S.G) VS 豪(GRATINESS)

NJKFでスーパーバンタムとフェザー級の2階級を制覇、WBCムエタイ日本統一フェザー級王者でもあった新人は昨年9月大会で5年ぶりの復帰戦。仕上がりはよかったと伝えられるが、それがそのまま出ないのが試合の難しいところであり、健心塾の麻太郎に3-0の判定負け。
蹴りを中心に試合を作り、相手の距離感を狂わせた上でパンチやヒジも当てるのが持ち味であった新人だがこの試合ではそれが見られず、復帰戦を飾ることはできなかった。今回は7ヵ月を経て再びリングに立ち、前回ならなかった勝利を狙う。
そんな新人と対戦する豪は、K-1とWBCムエタイ、ルールの異なる2つの世界で頂点を極めた大和哲也が率いるGRATINESS所属の選手。豪は大和の甥でもあり、2月大会ではNJKFスーパーフェザー級6位・匠の両まぶたを切り裂く左右のヒジでTKO勝ちを収めた。そのコーナーには激しいジェスチャーでヒジを指示する大和代表の姿があり、自身の技と経験を注ぎ込んでいることは想像に難くない。
ともにヒジを武器とする同士、しかし相手の距離感を狂わせ緻密に切る新人に、豪快に振るう豪とそのスタイルは全く別物。新旧対決はヒジ合戦となるのか、それとも――
■第1試合
真美(Team ImmortaL) VS 佐藤〝魔王″応紀(PCK連闘会)

“不滅の拳”真美が昨年6月以来でNJKFに戻ってくる。同大会ではNJKFvsクンクメール対抗戦の一員に選ばれ強さを示す予定であったが、対戦相手が直前で欠場。ムエタイ戦士との試合に変わり初回TKOに仕留めたものの、どこかやり場のなさを抱えたような真美の表情が印象的だった。
昨年はONE Friday Fightsにも進出し2試合を行った真美は、激闘を見せるもいずれも判定負け。1年を振り返り「勝ちたい所で勝てなかった」と悔いた。しかし「2025年、私は世界の舞台で勝ちます!」と誓っており、今年も力強いアグレッシブファイトが期待できそうだ。
S-1世界女子フライ級王者である真美に対し、佐藤もアピデッ・シットヒラン杯ライトフライ級王者であり、今回はともにベルトを持つ王者対決。両者は22年9月、ミネルヴァ ライトフライ級王者であった真美に佐藤が挑戦者となりタイトルマッチで対戦。パンチとローを中心に気迫をぶつけ合った試合は互いに譲らなかったが、真美が圧力と手数でまさり判定勝利した。
2年7ヵ月を経て、選手としてレベルを向上させ再び向き合う2人。今回も前回同様、あるいはそれを上回る激闘となるのは間違いない。
大会名:アイピック株式会社PRESENTS NJKF×CHALLENGER 8
日時:2025年4月27日(日)
会場:東京・後楽園ホール
時間:開場17:00 / 開始17:15
チケット:チケットぴあ
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